マルチエンド2

※三章読了後くらいが良いと思われますが、見なくても読める内容。

、外行きたい?」
「うん。行きたいよ。でも」
「黒神に怒られる?」

それが怖い。
私はなんで黒ちゃんの家に住んでいるのかよく分かってないのだ。
怒られたり、嫌われたりしたら、私は捨てられてしまうかもしれない。

それは、とても───怖いこと


「じゃあ、知られなければいい」
「出来るの?」

悪いことを隠すのは悪いこと。
そう黒ちゃんや影ちゃん、MZDに言われている。
私も、そうだよねって思ってる。

だけど、──────。





◇---分岐---◇





ううん。やっぱり黒ちゃんが行った事は守らなきゃ駄目。

「せっかくだけど、やっぱり止めておくよ」
「了解だ。また要望があれば遠慮なく言ってくれ。俺はの言う通りにする」
「ありがと」

私たちはそのまま、黒ちゃんが作った空間で転げ回った。











一時は警戒していたが、はもう外への興味を失ったようだ。
あれから外に行きたいと言う旨を口にする事は無く、胸を撫で下ろした。
今日も俺が作った嘘の世界で楽しそうに遊んでいる。
俺とMZD、ジャック以外と接する事のないはいつまでも穢れを知らない。
俺の、俺だけの無垢な女の子。
MZDは相変わらず渋い顔をするが関係ない。
これは俺との問題。
奴には少なからず感謝している面もあるが、それとこれとは話が別。
アイツは所詮蚊帳の外の存在だ。

「黒ちゃん、今日もお外?」
「すまない。すぐ戻るから」
「うん、待ってる。…でもね、出来るだけ早く帰ってきてね」
「勿論。に寂しい思いは出来るだけさせない」
「じゃあ私も留守番頑張る!いってらっしゃい」

に見送られた俺は存在の力が弱まっている土地へ降り立った。
今日も気分が良い。滅びる際までしっかりと見届けよう。
これを終えればに会える。が俺を待ってくれているんだ。
寂しい思いは絶対にさせてはいけない。
こんな事早く終わらせて「おかえり」とに出迎えてもらうんだ。

「はは……そうさ、が待っていてくれている」

あの笑顔を思い出すだけで、何かを壊す事がこんなにも楽しい。

「……あ、悪魔だ……悪魔が笑」

目に映った人も物も壊してやる。
それが俺の役目だ。楽しい楽しい黒神として与えられた存在意義。

「悪魔を愛してくれるの慈愛こそ神と言って差し支えない」

俺が他の奴らになんと称されようと何の痛手もない。
確かに昔の俺は苦しくてしょうがなかった。だからMZDが疎ましかった。
でもを得た俺にそんなつまらない感情は湧かない。
に愛された今の俺はアイツよりも上だ。完全無欠。
今の俺は、紛うことなきこの世界の神だ。



「おかえり!」

リビングへと転移してすぐに甘い匂いで子猫のような温かさで包んでくれる。

「ただいま」
「影ちゃんもおかえり!」
「ハイ、只今戻りマシた」
「留守番大丈夫だったか?」
「うん、途中MZDが来てくれた。だからね、寂しく無かったよ」
「そうか。良かったな」

楽しそうに笑うを撫でた。

「うぅ、気持ちいいけど、ちょっと痛いよ」
。少しあちらの家に行ってくる」
「今もまだMZDいると思うよ」

お利口なには影をつけて、俺はこの空間唯一の外への扉を開いてアイツの元へ行った。
の言う通りまだ奴の気配は家の中にあって、部屋の中で譜面に埋もれていた。

「何の意図があったんだ?」
「別にねぇよ。なんだよカリカリして」

どうだか。こいつは俺がを囲う事にはいつだって反対だ。
の成長を阻害する。これ以上俺達の都合に振り回すなと言っている。
その件に関しては俺にだって思う所が無い訳じゃない。

は何も知らない。
俺が考えている事を伝えてもよく判って貰えない事がある。
絶対的に知識が足りない。穢れを知らなさすぎる。
人間の愚かさを零しても、愚かな面を見た事が無いはピンと来ない。
意図的に他者を傷つける者がいる事なんて、は信じられないだろう。
この子は何も知らないのだ。
知らないから、俺の事も求めてくれる。
だから……このままでいいのだ。

「……帰る」
「黒神……てさ、が好きなんだよな」

意識を半分自分の空間へと飛ばしている時にふっと投げかけられた質問。

「今更何を言っている。当たり前のことを聞くな」
「……だな。ごめん」

次に目を開けた時には、影と楽しそうに戯れるがいた。
無で構成される影の身体を掴もうとしている。
その努力が無駄であると説明したとしてもきっとは理解出来ないだろう。

「(俺は間違ってはいない)」

ああも無邪気に笑っていられるのは俺が全てを遮断しているからだ。











「この匂い好きー。美味しそうだよね!」
「ああ。とても美味しそうだ」

ミルク色の湯がの半身を隠す。
僅かに香るバナナに飾られとてもそそる姿をしている。

「最近はね、黒ちゃんとお風呂入れて楽しいの。
 こんなに楽しいなら最初から一緒に入れば良かったね」
「そうだな」

変な遠慮なんてする必要は無かった。

「今日もね、お願い。黒ちゃんに洗って欲しいの。
 流石に一人でやらなきゃ駄目かな」
「なぁ。やりたいことがあるんだけれど、いいか」

のおねだりを遮り、俺は一つの決心をして尋ねた。
は不思議そうに首を傾げている。

「特別な人とする事なんだ」
「特別……?」
「そうだ。誰よりも一番という異性とだけする事だ」

特別。一番。
そんな言葉には目を輝かせた。

「する!だって私は黒ちゃんが一番だもん!」

疑う事を知らず、ただ俺の言葉だけを信じるが可愛くて。

「じゃあ、少しずつしてみよう」

ぽやんと開いた唇の隙間に舌を滑らせた。
久しぶりの、の味だった。

「っぐ……んふ……んん!」

硬くなった舌を舐めてみるが一向に変化が無い。
一旦口を離すと、が俺の腕をぎゅっと掴んだ。
涙目で怒る。

「っ……いき!……できない……よ!」

ついいつも通りしてしまったが、もしかして。

「えっと……ずっと息止めてたのか?」
「だって……口の中、黒ちゃんいるもん……」
「ふふ」

顔の真ん中にあるそれを忘れてしまったのかと思うと、思わず噴き出した。
あの時のを思い出す。

「わ、笑い事じゃないよ!」
「すまない。、ここ、使えば良いんだぞ?」

つんと鼻先に触れると、目を丸くして驚いた。

「じゃあ、もう一回。今度は大丈夫だな?」

が頷くのを確認してから、俺はもう一度。
今度は呼吸が出来るように時折小休止を挟んでやりつつ。

「ふ……ん、ちゅ……っふぁ」

大分硬さが取れてきた。
俺が舌でトンと叩くと、慣れないながらも舌を伸ばして応えようとする。
まるで初めてみたいなたどたどしい動きに胸の奥がちくりと痛んだ。

「ひやぁ!」

身体を伝う唾液に習い、控えめな胸に指を滑らせた。
何の予備知識が無くとも胸の頂きは昂りを主張している。
身体だけは、俺の手を覚えてくれているのだろうか。
いや、そんな筈は無い。人間の身体がそう出来ているだけだ。
それなのに俺は。

「くや、っみゅ、あっうぇ!」

の制止の声に気付かないふりをしてぷくりと膨れた先端を弄った。
力は殆ど入れない。軽く触れたり撫でたりするだけで良い。
は、それが好きだった。

「……っ……ふわ……きゅ……んんっ」

唇を離してもぎゅっと目を瞑って身体を震わせる。
嫌がっている声じゃない。ただ、やはり初めてにしては急ぎ過ぎただろうか。
激しい快楽を与えるとは泣いてしまうから。

……。今日はここまでだ」

力が抜けて倒れそうになるを抱きしめて撫でてやった。
俺を抱き返す力もないのか全てを俺に委ねている。
やはり、やりすぎたか。

「辛い……か?」

腕の中のは小さく首を横に振った。

「……すまなかった」

ぼーっとするの身体を支えながら身体を洗い、風呂からあがった。
少しのぼせているのだろう。
ソファーに寝かせ、後を影に任せて自室へ入る。
二人きりにすればの本音を影が引き出してくれる。
俺はそれを後から聞けば良い。安全且つ確実な方法だ。

二時間くらい経過した頃、自室の扉がノックされた。
指をふって扉を開けるとそこにはがいた。
何故か枕で顔を隠したまま。

「あ、あの……さっきの……おべんきょ……続き……」
「………………おいで」

可愛すぎて加減が出来る気がしない。











「ん、でも、影ちゃんが」
「今はいない。俺とだけだ」

それでも不安げなの口を黒神は封じた。
優しく押し倒し、昔と変わらぬ小さな身体からするすると服を脱がしていく。
するともそれ以上は抵抗を見せず、黒神の手ほどきを受けた。

「あっ……くちゃ」
。っ……出る」
「んぅ。きて……だして」

一層高い声を上げたからは白濁色の粘液が零れた。
玉のような汗の浮かんだの額をそっと撫でる。

「……今日も可愛かったよ」
「ありがと」

は自分の腹を撫でた。

「……今度は、黒ちゃんの赤ちゃん出来るかな」

口元に大きな皺を刻んで笑むに、黒神は言った。

「……きっと、そのうち」

張りを失い、血管が浮いた手握りながら黒神は心の中で涙を零した。





無垢なきみ END



(14/05/23)
外に出る事無く、あのまま過ごしていたらというEND。
三章読んでる人用↓

指輪と出会わなかったルートなので、身体は本来の大きさではなく幼女のサイズのまま。それに老化が進行している状態。
白い液体をいくらブチ込もうとも、彼らの間に子が成せる訳が無く。
でも知識のない幼女なので、黒神も何も言えず、叶いもしない子供の望みを頷いてあげることしか出来ません。
どちらかというとハッピーエンド。