たまにはこんなにちじょう

世界は広い。
そんな世界を統べる神との日常とは、いったいどれほど凄いのか。



「黒神!オレ女の子になっちゃった!」

開口一番にそう言うMZDに、デスクワークに勤しんでいた黒神は椅子から落ちた。

「は、はああ?何やってんだよ」
「これからはお姉様って呼んで」

ぐっと服の胸元を下げてみると豊かな果実が実っていた。
しかし最初から興味のない黒神は全く見ていない。

「さっさとその趣味の悪い遊びを止めろ」
「それとな」

その言葉を無視して椅子に座り直した黒神は、デスクを見ながらもちらりと目を寄せた。律儀である。

「黒ちゃん!ボク男の子になったんだ!」

黒神はその人物を見てカチコチに凍った。

MZDの後ろから出て来たのは少女……もとい少年?である。
健康そうな短髪で、半袖半ズボンという典型的夏休みの小学生。
顔つきは少女……少年らしくてあどけない。
体つきは少女……少年にしては華奢な部類である。

「こ、これからは男らしくいくっす!押忍!」

と、少年は道場にいる時の様に両腕に力を込めて挨拶した。

「ちょっと」

黒神はぽかんとした顔のままMZDを手招いた。
レースのスカートをひらひらさせながら近寄った所を、強制的に転移。
転移先はどこか、と判別する前にがら空きの胴を殴られた。

「がふっ」
「……死なねぇ事に感謝する。たっぷり苦しめ」
「いやーー!!!」

ぼこすか。ぼこすか。ぼこすか。
一方的な暴虐を受けるMZDは鼻血を出しながら、待ったをかけた。

「でもでも!が言ってんだからしょうがねぇじゃん!本人の意思だし……な?」

下手に出るMZDに舌打ちを投げつけると、黒神は自宅リビングへ戻った。
ソファーに座っている少年?に話かける。

。男になりたいのか。それとも男装か」
「ボクは男の中の男になるんだ!女の子を守るのだ!押忍おーす!」

ふらふら、ぱたり。

「マスターァアアアアアアアアア」

世界最強の神は倒れた。











「おと、こ……だと」
「押忍!これからは男らしくいくっす!」

と、は学校の友人らを驚かせた。
ちなみに、本日のは男子制服での登校である。

「MZD……」
「およ?」

ふわふわな女性服に身を包むMZDにニッキーが言った。

「……男装がウケるのは女だけ。男からすりゃ女のままが良いんだよ。
 なぁMZD、そこんとこちゃんと判ってんのか?」

エロへの探求に心血を注ぎ、日々エロを積む男は神に説教をする。
その迫力にMZDもたじろいだ。

「お、おう。そう、ですよねー……なんか、すみません」
「最近のトレンドで男の娘はあるけどよ、お前それ舐めすぎだろ。
 やるなら徹底的にやれよ。そんなんで女の横歩けんのか?
 半端はカマであって、男の娘じゃねぇから」
「……申し訳御座いませんでした」

MZDは元の服装に戻った。

ちゃん」
「は、はい!」

次に口撃されるのは自分だと、は構えた。

「連れション行こうぜ」
「……へ?」
「ほら、早く早く」

ずるずる。
よく判らないまま着いたのは男子トイレ前。
流石のもその意図に気付いた。

「い、行かない。ボク今はしたくないよ」
「まぁまぁ。ブツ出せば少しくらい出んだろ。やるなら小便器だかんな!!」

さっきまでの真剣な表情はなんのその。
今はただ男装姿の少女にハァハァしている。

「やり方判んねぇならオレがパンツ下ろしてやっから」

ズボンに手をかけたところでサイバーがすぱこーんと頭を叩いた。

「変態か!」
「男なんだからありだろうが!」
「じゃあオレに出来んのかよ!」
「変態か!」
「お前だ!!!!」

変態の毒牙にかかりかけたはサユリの腰へと抱きついて震えている。

「そこ!男なら女子にベタベタしてんじゃねぇ!」

ずびしっと指差したニッキーはサユリからを引きはがす。
そしてその手はのベルトにかかり。

「男同士の友情って事で、な。ハァハァ」

が転移をした瞬間、ニッキーは謎の光線に包まれた。
綺麗な目をしたニッキーが言う。

「やあ。僕は間違っていた。心身鍛えてくるよ」

スタスタと歩いてどこかへ消えてしまった。

「あっぶねー。もそろそろ元に戻れよ。アイツ何するかかんねぇぞ」
「いーやーだー、ボクは男でいくのだ!」
「(今度は何の影響を受けてきたんだよ)」

聞く耳持ちませんとそっぽを向いたにリュータは即座にお手上げ。
その分サイバーは粘りを見せた。

「なに拘ってんだよ。いつもの方が可愛いぞ」
「ぼぼ、ボクは別に、可愛いなんて言われたって、うう嬉しくないんだぞ!」
「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」
「嬉しく無くなった……」
「逆効果!」
「ふーんだ。ボクは男の子になってかっこよくなるんだ」

はサユリにくっついた。

「今の僕なら彼氏になれる?」

どきどきと期待の眼差しを向ける。
しかし、友人らは残酷であった。

「……ヒーローを選ばない時点で」
「……女子より小さいのはな」
「……親戚の小学生?」
「うわぁあああああん」

人通りの多い廊下に構わずは走って行った。

「さて、オレはかーえろっと」
「おい、MZD!」

せめて収拾してから……とリュータが言う前に消えた。

「そのうち飽きるだろ。授業授業」

いつもの事だと、サイバーは教室へと帰って行った。
ニッキーの事はすっかり忘れていた。



「なんでオレ全身養成ギプスなんかつけてんだ!?」











「なーあー。そろそろふとももー」
「出さないよ。男の子は足出さないじゃん」

男子の制服と言う事で、には珍しく足の露出が無い。

「男の毛深い脚なんて誰が見るか!」

その言葉に反応したのは意外にもリュータだった。

「お、俺、海くらいしか出さねぇもん……」

思いがけない弱点を突いてしまったが、ニッキーとしてはどうでもいい事。

ちゃん!意地でも女に戻らないってなら勝負だぜ!」
「お、いいね。男になりたいなら、その心見せてみろ!」

楽しそうな事になりそうだとサイバーも便乗した。

「いいよ。なんでもいいなよ」

余裕たっぷりではその挑戦を受けた。


1、ニッキー


「よしまずAVをだな」
「次」


1、ニッキー改め、サイバー。


「男ならヒーロー好きだろ!」
「うん」
「よし、合格!」
「はえーよ!」


2、リュータ


「う、うーん。じゃあ、映画行こうぜ」

五人は映画館へ向かう。
内四人は学生証を提示して1200円。
一人は小学生料金に加えて割引券を使用し800円を出した。

「~~♪」
「(ちゃっかりしてんな)」

思っても敢えて言わないのは大人である。

ちゃん背も胸も無くて良かったな」
「じゃっじめんとた~いむ!」
「へぶっ!」

大量のぬいぐるみに押しつぶされたニッキーをよそに、サイバーが勝負を取り仕切る

「ジャッジがあるからリュータは隣だとして、もう片方は……」
「じゃあサユリ!」
「却下。サユリに甘いからな。となると」
「オレ様だろ!」
「もう復活したのかよ。だったら、ここはじゃーんけーん!」

サイバーはチョキ、ニッキーはグー。

「おっし!ちゃんの隣ゲェエエット!オレの時代到来!」

受付の女性に席の希望配置を伝えた。

「申し訳御座いません。お二人とお二人とお一人で分かれてしまいます」

短い時代だった。

「じゃあ、それでお願いします」
「有難う御座います」

二、二、一と言う事で、残りのペアにはサイバーとニッキーが組んだ。

「それでいいのか?」
「うん。一人の方がマシかなって(さんの近くだし)」
「え!?」
「え!?」

予想外に傷つけられた二人であった。
そんなこんなで上映時間が迫ってきたので、五人はそれぞれの席へと散った。



サイバー・ニッキーペア

「けっ。女子供が騒ぎやがって。あ、おい見ろ!三つ前の左端。あれでかくね?」
「そうかも。あれだけ露出してると寒そうだな」
「露出最高。アベックなのがムカつくけどおっぱいは世界の宝。それを無防備に晒してくれるなら安いぜ」
「あんま言うなよ。周囲のカップルがスゲー目でお前見てるぞ」
「わざと言ってんだよ。わざわざこんな映画を選びやがった下心満載の奴らによ!」



リュータ・ペアとサユリ

「入口にあったぬいぐるみ可愛かったよね!」
「うんうん!私、じゃなかった、ボクもそう思った!」
「(隣なのに、なにこのアウェー感)」
「そういえば、映画って何を見るの?そろそろボクに教えてよ」
「あぁ……。もう始まるから大人しく待ってな」

そして映画館が暗くなった。サユリを見る為に後ろを向いていたもきちんと座り直す。
長々とした宣伝を見た後、少年(仮)の楽しそうな笑顔は消失した。

「(!!……流石にびびった。突然出てくるやつは誰だって驚くだろ)」

鍵穴を覗いても何もないが、後ろを振り返った瞬間に自縛霊が飛び出すという恐怖演出。
カップル率が高いので館内ではベタベタと恥ずかしげもなくくっ付いている。
それは、も彼らと似たようなものだった。

「(え!?)」

肘置きのリュータの手をぎゅっと握る。

、大丈夫か?」

小声で気遣うがには一切聞こえていないようでスクリーンに視線が釘付けだ。
BGMが切り替わる度にびくつき、足を無防備に伸ばすのが怖いのか椅子の上で体育座りを始めた。

「(男と言えばで安直に選んだけどまずかったな。ホラー苦手だもんな)」
「っい!」

泣きそうな横顔がスクリーンの淡い光で照らされる。

「(目を瞑る……って選択肢はないみたいだ)」

寧ろ目を見開いている。

「(これ以上見させるのはかわいそうだよな。外に連れてって)」

肩を揺らそうと手を伸ばした。

「いやああああああああああああああ」
「ぎやああああああああああああああ」
「んぼぉあああああああああああああ」

絶叫の大合唱。

「!?」

それに紛れては隣の友人に抱きついた。

「(え、えぇええええ!?)」

その力はあまりに強く、剥がせそうにない。

「(なんかこれ本当に恋人みたいじゃん!!)」

映画は最終的に主人公が殺され、誰も救われる事のなく終わった。
エンディングが流れ、館内に電気が灯りだすと、各地に散らばっていた皆が入り口付近に集まった。

「やっぱ映画館での迫力は違うな!オレ怖かったもん!」

と、楽しげにサイバーは言った。

「オレはキレそうだったな。誰か一組ぐらい暗がりでヤってねぇかと思ったのによー」

と、不満げにニッキーは言った。

「で、どうだった?」
「へ?」

聞いていないリュータに、もう一度サイバーは言った。

「審判!合格か不合格かだよ!」
「……ご、合格、かな」
「はぁ?ホラー映画だろ。ちゃんの天敵の。お前本当にちゃんと見てたのかよ。
 パツキンねーちゃんのシャワシーンガン見してたんじゃねぇだろうな」
「お前と一緒にすんなよ!(途中から映画の内容入ってこなかったっての)」



3、サユリ



「やっぱり女の子を引っ張ってこそだと思うの!」
「珍しくサユリ燃えてね……?」
「お手並み拝見だな」

興味はないと、ニッキーは静観の様子。

「うーん、あのね参考になる人が沢山あるんだけど誰だろう?」
「ニッキー以外なら大丈夫」

サユリには悪意の欠片もなかった。

「オレへの仕打ちおかしくね?」
「正常だろ」
「オレほど男らしい奴そういねぇよ?」
「(スルー)じゃ、サユリどう判定すんの?」
「じゃあ、ここから近くのコンビニに寄って帰るってシチュエーションで。総合的に見て判断するね」
「わっかりづれー。お前の主観かよ」
「始める前に失格になった人に言われても。じゃ、さん始めるよ」
「はーい」

「アイツオレにだけ冷てぇし」と文句を言うニッキーはさておき、第三ラウンド開始。

並んで歩くサユリとの後ろを男性陣がついて行く。

「少し喉が乾いちゃった。コンビニ寄っても良いかな?」
「うん、ボクも何か買おうかなー」

さりげなく車道側を歩いているには気付かない男性人達の会話。


「あ、金なくね?」

リュータが気付いたのは財布の中身の事だった。
所詮彼らはそのレベルである。彼女がいない時点でお察し。

「五十三円じゃギリでヤ○ルトだな」
「なんでお前はの残金まで判るんだよ」
「見りゃ判るだろ」
「(そこまで見ねぇよ)」
「五十円ならギャンブラーガム買えるんだぜ!」
「黙ってろオタク」



「(後ろがうるさい……)」

かといって注意も出来ない。サユリは悶々としていた。

「ボクらも後ろの人たちに負けない位仲良くしよっか」

するっと手を繋ぐ。

「こんなに簡単に手を繋がせてくれたんだから後ろの人には感謝だね」

にこりと、は笑った。



後ろでは。

「大変だリュータ!ニッキーが瀕死だ!」
「は?」
「何とも言えない雰囲気がクリティカルヒットしたらしい」
「え……え……え……」
「……エロが足りないって!」
とサユリにンなの求めんな!」



コンビニに着いた二人であるが、結局は何も買わなかった。
店を出たサユリは購入した小さなペットボトルを少し飲んだ。

「はい、さん」
「ありがとう!」

にぱっと笑って一口飲んだ。
ペットボトルを返却しながらは口を尖らせた。

「ねぇ、ちょっと無防備過ぎない?他の男と間接キスしちゃ嫌だよ」



少し離れた所から。

「間接と言わず、べろちゅーさせろ、そうだよオレと!ベロ、チュー!!!」
「途端に元気になったな。つか、こいつの友達と間違われるの嫌なんだけど」
「オレ飽きてきたからギャンブラーウエハース買っていい?」
「お前ら自由過ぎるんだよ!!」



コンビニから離れて暫く歩いた。

「私ここを右なの」
「じゃあここでバイバイだね」

と言いながら、はサユリの手を離さない。

「……どうしたの?」
「ごめんね。出来ればずっと一緒にいたいけど我慢する。
 その方がお預けされた分、明日はもっとキミの事が好きになってるもんね」

手をゆっくり離した。

「またね、気を付けて帰るんだよ」
「また学校でね、さん」

二人が別々の道を歩き出した所で、はサユリを追いかけた。
振り返る前に後ろからぎゅっと抱きつく。

「すまない。少しだけこうしてもいいだろうか」

宣言通り、少し経ったらするりと離す。

「公衆の面前ですまなかった。また明日」

は踵を返した。サユリが振り返るがはもう振りかえらなかった。

さ…」
「はーい、しゅーりょー!!!」

ギャンブラカード(お菓子のおまけ)を掲げたサイバーに続いて、全員がサユリの元に集結した。

「判定は……って言わなくても、サユリの反応的には合格だな」
「馬鹿みてー。ンな男がいるかよ!ったく女子は夢見過ぎだっつの」
「(って、女子は女子で思ってんだろうな)」

一人で頷くリュータであった。

「(最後は絶対あの人だった。あの、あの)」
「おーい、サユリ帰ってこーい」



4、ニッキー



「さーって。次はオレだぜ!」
「まともなものにしないとの不戦勝な」
ちゃんはこれにぜーってぇ勝てねぇ」

ついてこいと言うニッキーに連れられ、着いたのはMZDの自宅。
玄関から大声で呼びかけて上がり込むと、ひょこっと神様は現れた。

「メール見たぜ。アレでいいんだな」
「そうそう。よろしく~」
「あいよ」
「いいか!男は他人にベタベタしねぇ、ホモ以外はな!
 MZD誘惑に負けた時点で終了だぜ」
「こんなの簡単だよ」

第四ラウンド開始。

もう抱っこしてやらなくていいのか?」
「うん、いいよ。ボクはしっかりした人になるんだ!」
「そっか。もう撫でたりも出来ないか。いつでもいいこいいこしてやるのに」
「う、ん。別に」
「ごはんあーんも出来ないな。美味しいお菓子があっても一口もあげられねぇな」
「う……」
「もう怖いもの見た後トイレついて行ってやんね」
「え!」

ここであからさまに顔色を変えた。

「一緒に寝てもあげない。オレと黒神は一緒に寝るけど」
「ええ!!!」


「おい、あいつはホモか、ホモなのか」
「兄貴と?うーん、オレもさすがに寝ねぇぞ」
「(黒神さん!?)」
「俺には判らない事情が神にはあるのか?」

ぼそぼそと喋る四人の前で、MZDが勝負に出た。

「女子じゃなくなったを、果たしてKKは抱っこしてくれるかな!!!」
「男の子やめます!!!」

第四ラウンド 勝者:ニッキー

「勝ったのにこの敗北感……」
「なんだよ!オレよりKKなのかよぉ!神だぞ!偉いんだぞ!」

咽び泣く二人をバックには元の姿(ちびver)に戻った。

「なんか、スースーする……」
「初回パンツゲ、」
「神の目が黒い内はさせねーぜ」

わりとマジでヤバイ目をしていた(ニッキー談)

「そもそもどうして男の子になろうと思ったの」
「MZDが女の子になってたからだよ」
「なんで女子の格好?」
「暇潰し」
「ああ、そう」

理由はいつだって下らない。MZDの気まぐれなんてそんなもの。

「ま、オレらも暇つぶしにはなったかな」
「私は楽しかったよ。ニッキーがあれだっただけで」
「あいつは性別関係無しにあれだ」
「あれあれって言ってんじゃねぇ!襲うぞ」

がるがるしていると、バタバタと廊下が騒がしくなった。
なんだなんだと顔を見合わせていると、リビングに黒神が現れた。

「面食らったがようやく整理がついた。
 俺は、男が、好きだぁあああああ!!」

バッと黒神の瞳に映ったはいつもの女の子姿だった。
黒神は「あ」と思った。
そして後悔した。

「……キモ」
「ホモ……」
「……」

ニッキー、サイバー、リューターがそれぞれ反応を見せた。

「ち、違う!俺は決して同性愛者じゃない!」

ひそひそ。

「おいおい、今自分で宣言してた癖になんか言ってるぜ」
「流石神。俺達とはレベルが違うな」
「じゃあさっきMZDが一緒に寝るって言ってたのは、兄貴だからじゃなくて……」

男性陣が全員「ああ」と頷いた。

「おい!お前らはなんで納得した顔してんだよ!だから俺は男がどうとかじゃなくて」

黒神は助けを求めて、サユリとを見た。

「(そっか……そういう人だったんだ)」
「(く、黒ちゃんが、MZDに取られる……!?)」

「そっちもか!!」

どうにも信じてもらえない。
あわあわとしていると、肩を震わせて笑っているMZDが視界に入った。

「全部テメェのせいだ」
「え、ちょ、ここ、家」

しっかり家からMZDを連れ出した黒神は厳しくお仕置きした。

「そんなにMZDと二人きりになりたかったんだ……」

残念な事に、更に誤解が深まった。





fin. (14/05/16)