双頭狂乱~「花火」祭事台詞~


●アマツミカボシ

本殿も空も騒がしくて星を見るどころではないな。
今夜は諦めて……頭(かしら)か。何の用だ。
手持ち花火か。いや、どうせ暇だったからな。付き合ってやろう。
……煌々と輝くものに心惹かれるのは変わらんな。
だが手の届くところにあるからと言って、
己の物になるわけではない。そうやっていつまでも
心を掴んで放さないのも質が悪い。
何の話だと? ……さあな。


●イザナミ

独神さま、向こうでヒミコたちと花火をするのだが一緒にどうだ?
……良かった。なに、独神さまは人気者だから、
ワタシ達の所へは来てくれないかと思ったぞ。
……え? あとで二人きりでしたい、と。
ふたっ!? あ、いや、なんでもない。
なんでもないと言っている!
では、折を見て抜け出すのだな。承知した。
……独神さまは何故こうもワタシの胸を荒らすのだ。


●ヌラリヒョン

この線香花火を儂(わし)とか? もちろん歓迎だ。
主(ぬし)は良い趣味をしているな。
……小さいながらも人の目を惹く美しい光だ。
……おっと、落ちてしまったな。
最近は老いを感じるばかりでな、朽ちるその日に
其方が傍にいてくれればと、夢想してしまうのだよ。
……なに。去年も同じ事を言っていたと?
はっはっはっ! これは相済まぬ!


●フツヌシ

主(ぬし)、探したよ。
さて、私と手持ち花火でも……何故逃げる。
心外だな、私には何の下心もないよ。
主と二人きりでいる所を他の者に見せつけようと思っていないし、
花火に夢中な主を好きなだけ眺めようとも思っていないし、
闇に乗じて主を抱きしめようとも思っていないし、
花火の音に紛れて主に“あること”を伝えようとも思っていない。
……おや、貴殿の興味をそそるものでもあったかな?


●シュテンドウジ

頭(かしら)! 花火だってよ!
向こうで子分全員とでやるからおまえも来いよ!
ああ、もうイバラキとカネドウジがおっぱじめてやがる。
ほんとあいつら馬鹿だよなあl!
騒がしくて可愛げがあって、だから好きなんだけどな。
あいつら見ながら酒呑むとうめぇのなんのって。
……なに。頭もおれらの仲間に入りたいって?
なら……大江山に住んじまえば毎日見られるぞ?


●ミコシニュウドウ

あら手持ち花火なんて風流じゃない。
私を楽しませたくてきたんでしょ? なら、
早く花火をつけなさいな。私は見ているだけでいいわ。
……貴方って何をやらせても楽しそうね。
二人でやった方がもっと楽しいから一緒にしよう、ですって?
まったく、仕方がないわねぇ。やってあげるわよ。
……主(あるじ)はそうやっていつまでも、
私の“可愛いひと”でいなさいな。


●ヨルムンガンド

ドクシンさん、この蛇花火ってなんなんだ?
いや、蛇ってついてるから気になっただけだ。
なら今から一緒にやろうって? 良いけどよ、
ドクシンさんはオレ様とで良いのかよ……。
そうか……。へへっ、じゃあやってみようぜ。
…………これ全然蛇じゃねぇだろ!
蛇ってのはもっとフォルムが綺麗だろうが!
今オレ様が大蛇の姿に戻ってやるから、しっかり見てろよ!


●ササキコジロウ

手持ち花火か。相変わらずここの者たちは、
次から次へと物を持ち込んでくるな。
ああ、付き合おう。一つ貰おうか。
……。まあ、やる前から分かっていたことだが、
持ったままじっとしているというのは面倒だな。
主(あるじ)、一つ、頼みがあるんだが、
花火を持つこの手を主が握って支えてくれないか。
今の俺にとって、刀よりこの花火の方が重いんだ。


●オダノブナガ

遅い! 儂(わし)をいつまで待たせるつもりだ!
そもそも約束をしていない? 当然だ。
つい先程思い立ったばかりだからな。
とにかく来い。立ち位置はそこだ。見ておれ。
……カッカッカ! 見事な花火であろう!
他の者ではこれほど大きな花火は上げられまい!
儂は貴様の為ならば、町一つ焼き尽くして、毎日特大花火を打ち上げてやる。
少しは儂の本気、鈍感な貴様でも理解できたであろう?


●モモタロウ

するよ。花火。もう一式全部持ってきたから。
……なにぼんやり突っ立ってるのさ
主(あるじ)さんがやりたいだろうと思ったんだけど。
優しいんだねって、普段から相当優しくしてあげてるでしょ。
皆にチヤホヤされ過ぎて麻痺してるんじゃない?
あのさ……主さんはもっと僕を知るべきだと思うよ。
まず初めに、今夜は僕だけといる事。良いね?


●カグツチ

主(ぬし)、俺と手持ち花火しねぇか?
よっしゃ! 実はオマエなら絶対来てくれると思って、
もう用意してんだ。ほら、一列に並べておくだろ。
それで俺の炎で一気に点火!
うひゃひゃっ!! 小せぇけどスゲェだろ!?
どんな順番ならオマエが綺麗と思ってくれるかって結構頑張ったんだぜ! 
もう一回見たい? じゃあ今度は一緒に選ぼうぜ。
オレと主の夏の共同作業だな!


●オオタケマル

手持ち花火だァ? そういう餓鬼みてェなこたァ
他の英傑とやりなァ。俺はやらねェよ。
……いや待てよ。気が変わったぜ。付き合ってやる。
なんでやる気になったかって?
偶には童心に帰ってみるのも悪くねェってだけのことよ。
なるほどねェ……こんなんで独神の中の己の位置を
確かめられるってェことか。ははっ、良いぜェ。
“仲睦まじく”といこうじゃねェか。


●ゼアミ

独神様、あちらの空をご覧下さい!
花火職人に頼んでおいた特製花火です。
……独神様、何が打ち上がったか
お分かりいただけたでしょうか。
いいえ、お気を遣われる必要はありません。
角度が悪くて分かりませんでしたよね……。
……え? 来年も私に機会を与えてくれるのですか?
……独神様はずるいお方です。来年もだなんて。
喜ばせるつもりだったのに、私の方が喜んでしまいました。


●セミマル

打ち上げ花火を一緒に見よう、ですか?
……えぇ、ご相伴にあずからせていただきます。
きっと主(ぬし)様の笑顔に勝るとも劣らない大輪が
夜空に咲いているのでしょうね。
私の目では見る事は叶いませんが、
主様の表情に指を這わせていればその素晴らしさが分かります。
おや、緊張なされたのですか? では私と同じですね。
主様と二人になれた事で、私も柄にもなく浮き立っているのですよ。


●ホウオウ

主人(しゅじん)、打ち上げ花火というものは、
中身の火薬の配置で図柄をも打ち上げられるそうではないですか。
であるならば、この空に主人のお姿を打ち上げましょう。
さすればどんな者にも主人の威光が伝わるというもの。
……恥ずかしいからやめてくれ? ……ふむ。
でしたら私から主人への求愛ならよろしいですかな?
美しく巨大な我が愛をご覧に入れましょうぞ。


●オノノコマチ

私と花火を? えぇ、喜んで!
手の届く所でこんなに綺麗なものが見られるなんて素敵ね。
……あら、もう全ての花火が終わってしまったわ。
ねぇ主様、今日は誘っていただけてとても嬉しかったわ。
……ふふっ、今が暗くて本当に良かった。
たったこれだけの言葉でも、あなたに伝えるとなると
胸が高鳴って上手くいかないの。
言葉を紡げない歌詠みなんて、おかしいわよね?


●ヒミコ

見よ! 独神さま!
わらわは手持ち花火を二つも持っておるのだぞ!
隣には独神さまがいて、イザナミさまがいる。
わらわにとってこれほど幸せなことはないぞ!
今日は随分楽しそうだ、と?
王たるわらわとて、偶には肩を抜いても良いではないか。
それより、花火とは民にとっての夏の風物詩なのであろう?
ならばわらわの夏は、独神さまとイザナミさまが良い!


●ジュロウ

手持ち花火をやらないか、って?
オレと? フクロクじゃなくて?
な……なんでオレが主(あるじ)とやらなきゃならないんだよ。
そういうのはもっと明るい奴と……どうしてもオレとやりたいのか?
分かったよ。じゃあ仕方ねえから付き合ってやる。
……主と花火なんて、寂しくねぇどころか嬉し過ぎる──
って、主っ! さ、さっきのは独り言だ!
にやにやすんな! 忘れろ!


●オイチ

独神様。花火には鎮魂の意味がある事をご存知ですか?
……不思議なのです。あの方がいると分かっているのに
何故だか胸の奥が締め付けられるように苦しいのです。
闇夜を彩る花火が美しいほどに、私の顔が強張るのです。
いつか必ず三人で見よう、ですか。
いつか、とは良いですね。期限が決まっていなくて。
いえ、意地の悪い事を言って申し訳ありません。
ですが、そんな素敵な未来を私も見てみたいです。


●サルトビサスケ

手持ち花火? 忍の俺とか?
しかし、頭(かしら)からの誘いを無下にするわけにもいかないか。
……承知した。その誘い、謹んでお受けしよう。
頭が俺を選んだのもある意味正解だったのかもしれないな。
もし万一火傷しようとも俺の氷ですぐに冷やす事が出来る。
……ああ、すまない。つい頭ばかりを見てしまう。
それだけ頭の花火姿が絵になっているということだな。


●モモチタンバ

主(あるじ)殿、そんなに急いでどうした。
今まで俺を探していた? 共に花火をするために?
……それは大変失礼した。主殿が安全に過ごせるようにと
今まで見回りをしていたのだ。
もう夜も更けてしまったが、主殿が望むのであれば
今からでもご一緒させていただくが。……承知した。
だがこれはこれで好都合かもしれん。
今ならきっと誰も見ていないだろうからな。


●サトリ

主(あるじ)ちゃん! どーしたのー?
アタシに何か用事ー? 勿論心を見たから知ってるけど、
主ちゃんに直接誘ってもらいたいなーって。
……えへへっ。良いよ、一緒にやろっ!
わあ。主ちゃんの花火も綺麗だね。
え、アタシの方が綺麗だって……もう!
そこまでは言わなくて良いの!
そりゃ言ってくれて嬉しいけど……
花火だけじゃ終われなくなっちゃうよ?


●ツチグモ

っ!? 誰だ! なんだ主(ぬし)か……。
別になんでもねぇよ。さっさと他のヤツらの所へ帰れ。
…………はぁ。だから、音だよ。
さっきから打ち上げ花火の音がひっきりなしだろ。
苦手なんだよ。うるさいのは。
……手持ち花火片手にそういう目で見てくるな。
分かったよ。この程度なら耳に負担はないからな。
それに主がわざわざ俺を探しにきたんだ。悪いようにはしねぇよ。


●ゴエモン

お頭(かしら)! 探したぜ!
盗みにも使えそうだからサイゾウにちょっくら聞いて花火作ってみた。
オレ様の第一号、一緒に見ちゃくんねぇか?
ありがとな。じゃあ早速点火っと……。
……ははっ。上手くいったな!
これからは記念日の度に打ち上げてやるか。
例えばオレ様とお頭の……どんな記念日が頭を過った?
ちょいと傍に寄って、オレ様に聞かしちゃくれねぇか?


●フウマコタロウ

独神ちゃーん! 花火やろーよー?
独神ちゃんが喜びそうなもの持ってきたんだ。
小さいけどこれも打ち上げ花火なんだよ。
ほら、見ててよ。……せーの! ……あはははっ!
驚いてくれた? 驚き過ぎて動けなくなっちゃった?
じゃあしょうがないから僕が抱っこしてあげるよ。
やだなー、腰を抜かした独神ちゃんを抱き上げるまでが
想定内なんて。……そんなの当たり前でしょ?


●サイゾウ

お頭(かしら)! なあなあなあっ!
俺の特製花火見ていっちゃくれねぇか?
良いのか! やっぱそうこなくっちゃ!
いいか、この打ち上げ花火は俺の忍術の粋を集めたもので、
そんじょそこらの花火とは出来が違う!
おっし! 火ぃつけるぞ!
一、二の、三!! ははっ! お頭めちゃくちゃ驚いてやんの。
ちなみに俺のお頭への想いはこんなもんじゃないぜ?


●ハットリハンゾウ

手持ち花火か。……何、俺と?
はぁ……主(あるじ)の要請であれば仕方ない。
付き合ってやる。……まさかこの俺が、
こんな平和な火薬臭を纏う羽目になるとはな。
……別に。嫌とは言っていない。
主との時間を重ねる度に、俺の常識が覆されていく。
もう俺は、主にどれだけ自分を変えられようと驚きはしないさ。
……それで? この次は俺をどう染めるつもりだ?