コタ(ちょいえろ)

 独神を目隠しして、手足をひもで結んで。
 さらりと弄んで。でも最後はさせてもらえない。
「死ぬの。脅しではなく。独神の資格を失うから」

 伝えたい時は掌に指で書いて。
 誰か判らないように。

 目隠しを取ろうとすると。
「止めておきなさい。姿を見れば、私はあなたを処罰しなければならない」
 でも、取らないということは、
 誰かも判らぬ相手に、独神が媚声をあげていることになる。
 自分、に対してではなく。誰か、に。

「もう少しで人が来る。私はその人に助けてもらうから、あなたもそろそろ退きなさい」

 誰だと思っているの?と聞くと。

「そうね。ある程度までしか絞れていないよ。
 え。それでも、誰だと思うって……。
 自信はないのだけれど……フウマコタロウかな」

 どうして?

「まず、手がかりは"手"かな。
 とは言え、私は殆ど人に触れ合わないから、情報不足でね。
 触覚よりも視覚の記憶に頼るしかないの。
 それで、私に触れる指先が長いような気がして」

「あとは気配の距離、かな。私に覆い被さっていると思われるのに、遠い気がしたから背が高いのかもしれないって。
 けれど、これはさっきよりももっと曖昧で、判断材料にはあまり使えないと思う」

(神職の処女性が好き)


ゴエ

「あらー、今日の昼餉もとても美味しそうね。私もご一緒したいくらいだけれど、ここであなたが食べ終わるのを待たせてもらうわね」

と、一気にまくしたて目の前に腰を下ろした独神を見て、あちゃーと心の中でゴエモンは声を上げた。
隣で食事をとっていたキンシロウは目を逸らしながら味噌汁をすすった。
周囲が気まずさを覚える中、独神は目以外が笑っている。

「じゃ、俺は見回りの続きでも、っと……」
「いってらっしゃい。気を付けてね」

手早く食べ終えたキンシロウは戦線離脱に成功。
裏切者と呟き、独神にニカッと笑って見せるが、独神の反応は特にない。
こうなれば、じたばた足掻いても仕方がない。ゴエモンは腹をくくった。

「ご馳走様も出来たようなので……連行します」

腕をつかんですたすた。

「こんな別嬪さんからお縄を頂戴出来るたぁ嬉しいねぇ。大泥棒のオレ様納得の幕引きだぜ」
「へー」

投げやりな反応をされてもめげない。

「で、お頭。これから二人きりで何をしようってんだ」
「んー」

言うつもりはないようだ。
で、部屋に連れていかれる。

「ごめんね。晒し者みたいにしてしまって
「見せつけてやったの間違いじゃあねぇのか」
「あなたって

笑ってる独神。


「泥棒の依頼、受け付けていたりなんてしない?」

(導入だけ)


ハンゾウ

「ねぇ、ヌラリヒョン。今日も良い天気ね」
「ああ。そうだな」
「……それだけ。じゃあね!」

 零れ落ちそうな程の笑みを浮かべて駆けだす独神。
 平静を装う努力をしている事は認めるが、口元が奇妙に歪んで気味が悪い。
 同意のみで発展性のない会話の何処がそんなに嬉しいのか。
 ハンゾウがいつも通り呆れていると、気付いた独神が寄ってきた。

「あら、ハンゾウ。ぶすっとした顔してどうしたの?」
「新たな主は馬鹿だな、と思っただけだ」
「仕える主に直接罵倒する忍こそ馬鹿じゃないかしら。
 お給金八割減額よ。なんて、うちが給金制度じゃなくて良かったわね」
「好きなだけ罵倒出来るな」
「減らず口」

 好いた者とこれほどまでに差をつけるのはいっそ清々しい。
 戦の為とはいえ、こんな者を一時期でも主としなければならない事は気に食わないが、今までの契約者と比べるとましな方であり、我慢の範疇だ。

「あ、トドメキ!アレ、届いたから後で部屋に来てね!」
「本当!?行く行く!今でも良い?」
「うん。一緒に行こ!……じゃ、ハンゾウさんは空気読んで下さいね」
「言われなくとも。お守から解放されて清々する」
「今朝の件お願いね」

 その場から離脱する。遠目で見る独神は英傑と楽しそうに話していた。
 ハンゾウのような反抗的な者には嫌味な態度を返すが、基本的には人当たりのいい独神である。
 他の英傑もそんな独神を気に入っていて、心を寄せる者も少なくはない。
 だが、独神が真に態度を変えるのは一人だけだ。
 遠野一帯を治める大妖怪ヌラリヒョン。
 ハンゾウがオノゴロ島に来た当初、独神はヌラリヒョンに対して他の者と変わらない対応をしていた。
 それが時が経ち、小風の様にゆっくりと独神に変化が訪れた。
 姿が見えれば駆け寄り、世間話さえ緊張し、怪我をすれば周囲が心配するほど気落ちした。
 あまりにもあからさまな態度で、本殿にいる全員が独神の心を知っている。
 諌める者、怒る者、喜ぶ者、と反応は様々だが、当のヌラリヒョンは柳のように独神をいなしていた。
 素気無いと言っても良い。そのお陰もあって、主従関係は相も変わらず、組織の崩壊は防がれていた。

 今朝独神に頼まれたのは、伊賀衆の情報を統合する事だった。
 各地へ放った伊賀衆から伝令を受け取った結果、東山道の各所を悪霊が抑えている事が判った。
 元々深い山林と雪の影響で行き来に不便な場所であり、回り道に使える道が少なく狙い撃ちにはもってこいの街道だ。
 少ない犠牲で多くの敵を殺せるので、敵が採用するのも当然と言っていい。
 広い八百万界を守りたいのなら東山道は捨て、領地を縮小し守りを堅固にする方が簡単だ。
 だが、東山道を捨てれば蝦夷への行き来は困難になる。そして、黄泉へも。
 これらの事を独神に伝え、今後の方向を決定させる。
 情報を本殿に持ち帰った頃には、すっかり辺りは闇に包まれていた。就寝した者もいるだろう。
 ハンゾウは普段通り足音を立てず、執務室へ侵入した。独神はいなかった。
 暫く待っていたが、一向に帰ってこない。
 まさか拾い食いでもして腹を下したか。それは流石に冗談だが、何かあったのかもしれない。
 どうせ厄介な事に首を突っ込んでいるだけだとは思うが、待っていても効率が悪い。
 ハンゾウは探しに行く事にした。

「ナバリも俺の主を探してくれるのか。ふっ、頼んだぞ」

 忍と猫は二手に分かれて独神を探した。
 ハンゾウは施設周りを、ナバリは連なった各部屋を。
 厠、厨、風呂場、花廊、錬金堂、と見回り、会った英傑に独神の居場所を尋ねて回る。
 痕跡は一つもなく、また誰からも情報を得られず、ハンゾウはナバリと合流する為に執務室へ戻った。
 手ぶらで戻ってきてしまった事に忍として苛立っていた。
 一血卍傑の力以外何の力もない者が、伊賀の上に立つ自分に情報を一切掴ませないなんて。
 もしや、本当に何かあったのではないか。
 一抹の不安を抱えながらナバリをじっと待っていた。
 それほど経たぬ間に、ナバリが独神を連れて来た。と言う事は、さっきまで英傑といたのだろう。
 誰といたのか、とは聞かなかった。

「報告だ。来い」
「ええ。お願い」


 やや機嫌が悪いように思えたが、構わずハンゾウは独神に伝えた。
 東山道が塞がれている事の他に、東山道付近では独神の影響が殆ど届いていない事を。
 後者について独神も自覚していたようで、軽く唸った。


「本殿に籠っていた弊害よね。いいわ、なら行きましょう。東山道へ」

「正気か。悪霊が占拠していると言っただろう」
「だからこそよ。平和な時に行ったって民の印象に残らないじゃない」

 独神も時に外交を意識した采配をする。全くの無能でないのは嬉しい誤算だった。

「御意。護衛は俺がつく。他は誰が必要だ。土地勘がある奴が望ましいだろう」

 考えを巡らせるまでもなく、遠野を根城にしているヌラリヒョンが適任だろう
 あの一帯全てに顔が利くので、つまらない者達が独神へ危害を加える可能性も減る。

「貴方だけで良いわ」

 独神は信じられない事を言い出し、ハンゾウもつい本音を漏らした。

「奴が供をする事に臆したのか?」
「目的は独神を信用してもらう事。なら、ヌラリヒョンの威光に頼っては効果が薄いと考えただけ」

 一応筋は通っている。独神の恋慕に否定的なせいで、穿った見方をしてしまった。

「一理ある。言い過ぎた事は謝罪しよう。すまなかった」
「本当にね」

 吐き捨てるように独神は言った。
 元々の機嫌が斜めだった事もあって相当に腹を立てているようだ。

「一英傑を特別目に掛けた自業自得だ」と言い返したい所をぐっと堪えて、重ねて謝罪した。

「だから、悪かったと言っている」
「……判ってる。私の自業自得でしょ」

 そう言って独神はきゅっと口を噤んでしまった。これでは埒が明かない。
 呆れると同時に、妙だと思った。
 戦闘経験のない独神だからこそ、戦に関わる作戦会議は神妙に臨んでいる。
 それがこの様だ。八百万を背負う主とは思えない、身勝手で気分屋な素振り。
 ハンゾウは、独神がさっきまで誰といたか察すると同時に、馬鹿馬鹿しい感情が沸き上がった。
 自分と独神は主従、と改めて確認してから言葉を発した。

「伊賀は必ず任務を完遂する。だから安心しろ。
 ……主の事は何があっても守り抜く」

 虚を衝かれ口をぽかんと開けていた独神だったが、ゆるゆると笑みを浮かべた。

「ありがとう」

 あどけなさの残る笑顔はいつもの独神だった。ハンゾウは少し、ほっとした。
 この安堵に何の意味もないが。しかし、不思議と独神にはいつも通り能天気でいて欲しいと思う。

「護衛をするにあたってだけれど、やはり他にも誰か必要かしら」

 手間がかかったが、独神はようやく独神としての顔に戻った。
 ハンゾウもまた、仕える忍として応える。

「最低でももう一人は欲しい。敵に遭遇しても二手に分かれられるし、見張りは多い方が良い。
 だが主を守るのはこの俺だからな。一人が良いと言うならば、やってみせよう」

 主の命令がどんなものでも厳格に守る事が第一。
 この際、伊賀だけで完結する事に拘らない。気に食わない甲賀や風魔に借りを作る事も考慮に入れる。

「難しいけれどお願いします。どうしても、貴方だけに来て欲しいの」 

 重用される事に悪い気はしないが、何故ハンゾウだけなのか。
 東山道といえば、ウシワカマルは平泉に下った過去があるし、ミシャグジやタケミナカタは諏訪に縁がある。
 妖ならクダギツネ、カッパ等は土地勘があるだろう。土地との結びつきが強い神や妖が最適なはず。
 それに蒸し返すが、土地で信仰される者と共にいた方が信用は得やすいはず。
 独神の考えが判らない。何故いつものようにべらべらと話さないのか。下手な隠し事での無駄死にはご免被る。

「承知した」

 一旦、ハンゾウは素直に応じた。

「……さて、明日は早いし、お互いもう休みましょうか」
「そうさせてもらう。念の為起こしにくるが、手間をかけさせるなよ」
「大丈夫。朝は強いから」

 軽口を背に受けたハンゾウは闇夜に紛れた。
 無論、このまま休息をとるはずなどない。

 ◇

 オノゴロ島には独神に扮したチヨメを配置する事で、留守を誤魔化した。
 いつも通り八傑も一部配置し、日常を演出した。

「良い天気ね。歩きやすくて良いわ」

 龍脈を利用して東山道へ。

「足音が判りやすくて助かる。相手からも丸わかりだがな。
 主は余計な真似をせずいつも通りに歩け。武技があるとでも思われたら面倒だからな」
「へー……」

 音もなく駆ける事が出来るハンゾウも今は敢えて、町民の歩き方を装って音を立てている。

「対人族は良いが……」

 問題は神族と妖族だった。
 怪しまれない様にミシャグジからは加護を受けた。

「主様はしゃーないなぁ。ほら、うちの蛇で印をつけたる。
 こうすれば大抵の神は主様に危害は加えんはずや。ただ、完璧に信用されるわけやない。
 せやから、あとは主様の力次第やで。ええな、何かあっても踏ん張るんよ!」

 神は良いとして。

「主さんは弱い妖だと強すぎるし、私くらいだと美味しすぎるし、困りましたねぇ。
 何がって、匂いですよ。匂い。臭いとかじゃなくて。うーん、尻子玉……じゃ判らないか。
 うーん、腐りかけの桃、とか?そんな感じの匂いです。悪い意味じゃないですって!
 美味しいって名誉な事ですよ!私も機会があるなら是非食べてみたい……って嘘です嘘です!本当ですけど!
 とにかく、主さんの匂いは極上なので妖が寄ってくると思いますよ。
 まぁ、妖なんて勝負に勝てば一時くらいは従いますから~、すぐに寝首をかいちゃいますけど~、
 まぁまぁ難しく考えないで下さいな。勝てば良いんですよ!勝てば!」

 と、カッパには言われた。

「妖族は気分屋ばかりで骨が折れる。天狗のような頭の固い奴らも面倒だが」
「楽しく生きてて好きだけどね。ただ、食べられるのは困るわね。タマモに怒られそうで」
「呑気な……」



「ハンゾウ」
「貴方の価値基準で判断してね。私の事もいつも通りに相手して頂戴」
「意図を話せば、従おう」
「……」
「隠し事の多い主だ。良いだろう、仕方がないから承知してやる」
「ごめんなさい、ありがとう」



(これは最終的にハンゾウ落ちにしたかった。普段傍にいるのはヌラかもしれないが、今際の際に求めるのはハンゾウ。本当の意味で心を寄せる、心を明け渡す相手を最期に知る。ハンゾウは契約で動く忍びで、情に流されるような者ではない。だが、そのくせ献身的で、相手の幸せを第一に考える。自分を蔑ろにしがちとも言う。ヌラリヒョンとは全然違う魅力があってとても好き。幸せになって欲しい)


サイゾウ

 外に出ていく
 英傑たちはみんなお休み。それぞれ帰ったり、気にせず本殿にいたり。
 ただ、炊事係も外に出るので、自分たちでなんとかしなければならない。

 そんなときに、サイゾウと独神が二人で出かける。
 なぜ、サイソウとなのかというと、誰が独神と過ごすかの勝負で勝ったからである。

 サイゾウは独神のために、街に出た。二人とも普通の格好である。
 とにかく普通の民と同じように過ごさせてあげたいと、サイゾウは思ったのだ。
 疲れた体を休ませられるように、温泉宿に泊まる。

 寝るころ。
 サイゾウは隣で寝る。
 忍として、節度を守っていたサイゾウだが、ふと隣の独神に手を伸ばす。
 少しやりとりをしていると物音
 サイゾウが身構えるうちに、独神とサイゾウがそれぞれ襲われる。
「ちが、えいけっ、っう……」
「不合格だ」
 襲撃者はモモチタンバとハットリハンゾウであった。
「師匠にハンゾウ……」
 ハンゾウは気にせず独神に説教を始めた。
「主、従者が一人の状況で無防備すぎるぞ。絞めるだけにしてやったが、本来なら首を折り終わっている所だ」
「……はい」
「水月を押され声が出なかったろう。俺たちに助けを乞うだけの主の声を奪えばその分生存率を下げることが出来る。わかるな」
「はい」
「だから従者が少ない状況下では、貴様も俺たち同様一時も警戒心を解くな。
 ……ま、俺がついていればこんな目に合うことはないだろうがな」

「……言いたいことは判るな」
「……俺が……未熟だった」
「護衛対象を抱えての戦闘は困難を極める。特に主殿には敵が多いと判り切っていること。もっと策を練るべきだ」
「……」
「とはいえ、敵の数が多ければいくら優秀な忍だろうと守り切ることは難しい。だからこそ、俺たちを含めた英傑がお前たちをつけていた」
「……だよな。ロクロクビを見かけたのを皮切りに、ちらちら本殿の奴らがいるのは判ってた。けど、師匠やハンゾウの事は気づけなかった」
「俺たちが刺客ならとっくに主殿は死んでいたところだ」
「……」
「反省しろ。……だが、本題は別のことだ」
「別?……悪霊か」
「大軍が進行中だ。主殿と連れ大きく迂回して本殿に帰還しろ。悪霊たちには俺たち以外の英傑が討伐に向かう。援軍も要請済みだ」

「あと今晩冷える事は空模様で判っていただろう。それなのに貴様は薄着で。もう一枚身につけろ。腹巻もやる」
「はぁい」
「貴様が風邪をひくことがどれだけ面倒か判っているのか
「着ます……
「寝衣を整えたらさっさと寝ろ
「寝ろって言われても……。突然襲撃されて寝る気分なんて飛んで行ったわよ
「ならナバリを抱かせてやるからさっさと横になれ
「ナバリちゃんおいで」
 抱っこ。そのまま布団の中。
「……」
「……すぐに寝られるこの図太い神経は評価してやろう」

(2018年に書いたやつ。サイゾウをモモチやハンゾウより未熟者するかどうか。これは未熟としたんですね。忍出すと基本的にその独神は全忍から愛される系にしがち。ぐちゃぐちゃした人間関係にニヤニヤ出来るから)


コタ

 命までかけてくれるのに、どうして心はくれないのか。


「独神ちゃんはずるいよ」

「長寿は難しそうだね
「それもまた、致し方なし。やるべき事を達成出来るなら望まないわ

 そういうところがまた嫌なのだ。

「八百万界にぞっこんだね。
「そうね

 どうして満足そうに笑うのか。
 もっと求めてくれれば。いや。求められれば分不相応な望みを抱いてしまうか……。

「結局、今が一番いい形なのかな……
「?
「独神ちゃんは今のままでいいってことだよ」
「それなら良かった

 嬉しくない笑顔だなぁ……。

(コタが幸せになる話書いた事ないと思う)


コタ(vsハンゾウ)

 膝枕。フウマコタロウ。

 手慰みに撫でられるのが嬉しい。
 あと、優越感。他の英傑が来ても「今寝ているから。ごめんね」と言っているのが。

 伊賀は猫まで腹が立つな。
 こちらをじっと見ている猫。
 わざわざ誰とも目線を合わさないようにしているというのに、覗き込んでくる。
「そんなに気にしなくても寝ているだけよ。
 と言っても、見ている。
 遅れてハンゾウも見ていることがわかる。気まずい。
「忍の癖によくもまあ無防備で身をさらせるものだ。風魔の程度が知れる」
「ここでくらい楽にしたって良いと思うけれど。あなたも変わらないじゃない」
 へー、そうなんだ。
「そんな事はない。勘違いも甚だしい」
「そう。それは残念。
 あ、落ち込んだ。
「いや、そういう意味ではないが……。この話はもういい。次の任務へ移る
 去る。ああ、いい気味だったなあ。
 僕を警戒したことが仇となるなんて、ほーんとかわいそうだねえ。


モモチ(ヌラおる)

 平和になり、誰かを好きになったとしても、モモチだけは独神とは離れないと発言。
 でしゃばるつもりはない。だが、傍に居ると。
 勿論相手は嫌がるが、それでも離れないと譲らない。
 独神が言っても駄目。ハンゾウが言っても駄目。
 暴力は独神が嫌がった。今まで世話になってきたから筋を通したいと。
 仕方がないので、独神は返事を保留にした。

「平行線ね。暫くはこのまま関係を継続しましょう。
 あなたに納得してもらえるよう、考えるわ。

 独神との情事を見せつけられようとも手は出さない。
 心は揺らぐことなく、傍に居続ける。というか、普段は見えない。
 呼べば出てくる。

 そのせいで別れるでも、なんとなく奇妙な関係を続けるのも。
 家臣として見るというのもある。

 ヌラリヒョンなら、家臣として見るのもありだし、さらには
「其方が人族で助かった。……儂は気が長いものでなあ」

(死ぬまで待つ気でいるじーさん。これでモモチ死んでヌラ落ちなんておもろないんで、何か捻らないといけないなと思ってたらボツのまま)


ハンゾウ(ちょいえろ)

 何気ない会話をする二人。

「ねぇ、また頼んでも良い?またあの付近で何かあるようなの」
「前回より範囲を広げる。
「お願いします。
「ああ。二日以内に戻る

 みたいな本当に普通の会話。
 でも実は、それは事後の次の朝。


 行為の最後に言った「ごめんね」が何を意味するのか、考えている。

 朝に何もなかったように接するという事は、やはり、そういうことか。
 あれは戯れで、一夜の過ちであると。


 夜の場面に巻き戻し。

 酔っている。
 馬鹿な主だと、思いながらハンゾウはつれていってやった。
 部屋で、独神に抱き着かれた。
 やれやれと思いながら。

「主、大人しく寝ていろ。抱き着かれたところで俺は優しくしてやらんぞ

 独神は縋った。行かないでと。
 困るハンゾウ。

「命令なら従ってやらんこともないが」

 独神から襲った。


 声は出せない。
 出したらばれる。だからやめろといっているのに、主は抑えていても、漏れてしまう。
 近くにいるから、何も言うなと言っているのに、それでも続けるのか。
 それは、知られても良いという事なのか。
 それとも、その程度では止められないのか。

 ハンゾウは誰にも聞かれないように囁く。
 すると、主が体を震わせる。
 涙ながらに言うのだ。「だめ。囁かれると、ぞくぞくする」
 そんなことを言われてはこちらも煽られる。

 においがつく。
 偵察に行くつもりだったが。これではいけない。
 女のにおいがする。酒のにおいがする。

 果てた後、独神は最初のようにハンゾウの首に両手を回した。
 耳に口を寄せて、囁いた、「ごめんね」


 あの夜の事。
 双方共に蒸し返さない。関係も変わらない。
 他の英傑達にもバレていない。


 コタなんかは知っていそう。
「独神ちゃんが誰を好きになろうが自由だけど、でも忍なんて、それも伊賀者なんて絶対だめだよ。
「忍なんて利益でしか動かない集団だよ。それに、あちこちで恨みを買ってる。
 もし報復するとしたら当然のように狙われるのは弱い奴だよ。ねぇ、独神ちゃん。

(本当はお互いに純愛なんだけれど、二人の立場だったり自信のなさや遠慮で上手くいかないパターン。最終的にはくっつく系の話)


サスケ(と忍たち)

 着替えている独神。
「(着物のつもりだったけれど、いつも同じだし趣向を変えてみようかしら。
 全部脱いで着替えていた。
 そこに、サスケが来る。ただの報告。
 独神はびっくりしてしまって、大声を出してしまう。
 その声を聴いて、たくさんの英傑が部屋に集まり、見られまくるわけで、更に叫ぶ羽目になる。

「……初めて挫折を味わったわ。
「なんじゃ、たかが身体を見られたくらいで
「タマモゴゼンだって、手入れ中に見られたら嫌でしょう?
「わらわ程の女が毛並みを整えている最中に見られて狼狽するとでも?
 いつ見られてもわらわは完璧。なんなら、入ってきた者どもに世話をさせてやるぞ。
「うう、共感を得られない。


 サスケはやらかしたが、他の忍だったらどういう対応をしているのか。


「っ!?ハンゾウ!?
「報告だ。よく聞いておけよ。
「え!?あ、はい。
 普通に報告。
「報告は以上だ」
「……ありがとう。
「ところで主、随分狼狽えていたが自分の身体を見られて困るような価値があるとでも思っているとしたら大間違いだぞ。
 主の価値は一血卍傑という稀有な能力と、求心力だけだからな」
「見られた上に、悪口を聞かされることに納得がいかないわ。
「…………見られたくらいで落ち込むなと言いたかっただけだが。
「……そう」

(へそ曲がりな言い方のハンゾウ)



「主殿
「ひゃぁ!?もももももも???
「報告がある。話せる状態になったら呼んでほしい
「わ、かった。
 で着替えて、そしたら出てきて、話して帰る。
「(……ん?どうして私が人前に出られる姿ではないって知っていたのかしら。

(モモチタンバは独神の全てを知っている)



「独神ちゃん、報告だよ!
「!?!!??
 口を押えられて声が出ない。
「落ち着いて。僕だってば。まぁ、着替えながら聞いてよ
 こくこく。頷く。着替えながら聞く。
「そういう事だから。僕はまた別の方面から探るから、またね。
 消える。
「……はあぁあああ。まだ心臓がばくばくする。

(コタは特に恥ずかしがることはない)




「あれを着ようか、これにしようか。こっちかな。
 着物を持ち上げると小さな紙がふわりと舞った。
 拾い上げる。
「……(報告。って書いてある。何の事だろう、表に出てみようかしら)」
 急いで着替えると、執務室にサイゾウがいた。
「お頭、忙しい所急かして悪かったな。
「いえ。あとさっきの紙。
「そうそう。文字が残ると面倒だからな。
 燃やす。
「んじゃ、聞いてもらえるか。

(サイゾウは頭の裸体を見ないように気を遣う。さらっと)



 で、サスケがやらかしたことで、周囲の忍、特に伊賀は思いっきり馬鹿にしてた。
 サスケが改めて謝りに来る。

「頭、先日は失礼した。どんな処罰でも受けよう。
「いえ、罰する気は毛頭ないわ。私も自室だからといって気を抜き過ぎたのよ。ごめんなさい。
「そう言うが俺が納得できない。確かに今まで仕えた主たちは豪傑ばかりで、このような事態は一度もなかった。
 過去と同様に考え、頭への仕え方を軽んじたのだ。雇われの身でありながら。
「そんなに気にしなくとも……。不必要に自分を責める事は良くないわよ。

「俺の不手際で、頭の肌を不特定多数の奴らに晒した事がどうにも許せないのだ。だが頭本人に罰を乞うばかりでは、八つ当たりだな。
「……ふふ
「笑われても仕方がない。情けないな。

「なぜ撫でる。
「随分可愛い事を言うからよ。そうだ、じゃああなたへの罰はこれでいいわ。暫く大人しくしていなさい
「何をわけのわからないことを。
「罰を受ける側が抗議出来るのかしら。
「くっ。

(普段サスケは崩さないように書いているので、偶に壊したくなる)


コタ

 何故忍になったのかと問われれば、それ以外の道を知らなかったと答える。
 忍として産まれ、忍として死ぬのが当然の理と認識していた。
 他の者がどんな生活をしていようとも、彼らはいつでも自分の枠の外側の生物であり、生活を同じくするなど望んだことも無かった。
 独神と会うまでは。

「今日はどんなことしてあげようかな。悪戯?偵察?殲滅?」


「(嫌なもの見ちゃったよ)」

 それは本殿にいる英傑と談笑する独神の姿。
 自分以外と話しているのが


 いつも自然体の独神ちゃんが唯一自分を取り繕って嘘で固めるのは、とある英傑だ。



 本当に贅沢。
 つながりたくても繋がれないのに。
 独神ちゃんに目をかけてもらいながら、よく拒否できるよね。
 いや、ただの拒否なら好都合。
 でも、あんたのやっていることは、独神ちゃんに期待させるだけさせて、それだけだよね。
 結びもしない縁なら、容赦なく切ってよ。
 独神ちゃんを縛り付けないでよ。

 いらないならちょうだいよ。

「独神ちゃん、今日も可愛いね」
「……嫌味ならやめてちょうだい。本当でも……やめてちょうだい」
「独神ちゃんを慰める役、僕に任せてくれない?いい仕事するよ」
「遠慮しておくわ。あなたの心遣いは血が流れるから」

 目を擦るとすくりと立ち上がり、堂々と’独神’は本殿へと歩いて行った。

「(忍の僕が無血で終わらせる術なんて持ってるわけないじゃん)」

 フウマコタロウは光を避けるように影へ溶けていった。
 その手には長身な身体にも劣らぬ巨大な手裏剣を携えていた。


モモチ

薄くではなるが、なんだか表情があるような気がする。
怖いと思ってたけど、意外と大丈夫だな。
悪い人じゃない、気がするし。

などと、大抵の英傑達には思われている。


で、そんなモモチと独神が関わっている所をみると、表情が見えない。
なんでだろう。
主様の前だとどうして笑わないのだろう。



実際は、モモチはここでやっていくために、仮に表情を見せているだけ。
相手に安心感を与えるために。打算。
独神に対してはそんなことしなくても、よみとってくれるので、素のまま(元々表情が乏しい)
だから見せる笑顔も意味が違う。重みが違う。
造り物ではない、ほんもの。


ハンゾウ

 どうも俺の主は言葉だけではご理解いただけないようだからな。……行動で示してみせようか?


 何も言わないなら肯定と捉えるが……どうする? 忍の俺は主が命ずるなら従うが。

 何も言わない。横を向いて顔を押えたまま。
 ハンゾウが耳元で話すと、ぴくりと震える。

「……今更俺を恐れるわけじゃないだろう。嫌なら嫌と、ちゃんと言え。
 口を尖らすように言う。それにたいして首を振った。
「いやじゃない。

 耳に口づけるか、髪に口づける。

「ほら、主。手を取れ。起こしてやる。

 起こしてくれる。


(ハンゾウは純愛くさくなる。血生臭いからこそ)




サイゾウなんだけれど、モモチが主

『恋愛相談員』

 生を受けたその日から血をすすり、血の中を駆け回り、己が歩んだ道が"忍"と名付られた自分がまさか──。

「あぁあああん、もうモモチだけが頼りなの!私とサイゾウとを赤い糸で結んでちょうだいよ!!」
「……はぁ」

 仕えた主に、弟子の一人と交際したいから手伝え、と乞われるとは。

「忍になって仕えた主(しゅ)の様々な要求に応えてきたが……。
 まさか恋愛相談とは。主(あるじ)殿は面白いお方だな。非常にがっかりしている」
「ハンゾウみたいな事いうね」
「ハンゾウなら控えめに言って、自死しろと言っているだろうな」
「辛辣ゥ!」

 こんなことを言っているが、我が主は悪霊が蔓延る八百万界で決起した、非常に立派な人物である。
 神代八傑を率い、各地に散らばっていた有能な英傑たちをとりまとめたのだ。
 このお方がいなければ、八百万界は既に悪霊の手に落ちていたことだろう。

「おかしくない?!?こんなにスキスキな空気ぶわぁあと出して主張して、察する事が出来ないってどういうこと???」
「具体的には、何を行ったんだ」
「朝ごはんのご飯を1.5倍にしてあげたわ」
「……」

 あまりの知能の低さに俄かに信じられないだろうが、本当に立派な人物なのである。
 一血卍傑という類稀なる力を行使し、日々命を削って戦っているのだ。
 数いる英傑たちの一人ひとりに目を配り、八百万の生命の幸せを願う姿は美しくもある。
 それが……。

「主殿、この際サイゾウへの恋慕はさておき、何故俺に相談する?あれの師匠とはいえ、既に独り立ちさせ、今は一人の忍だ。それに、俺がそのような事に向いているとは思わないだろう?」
「そうは言っても、幼少期のサイゾウを知っているなら彼の根本を知っているでしょ。生物は時を重ねる毎に変化するとはいえ、根っこの部分、それに近い部分は早々変わらないもんよ」

 言っている事は理解できるが、人選は間違っているとしか思えない。恋愛事に歓喜し、同調してもらうにも俺では不足。サイゾウに関係ある者ではなく、色恋に精通した者の方が成功率は高いように思う。

「主殿。やはり貴殿の頼みは到底受け入れられない。他の者を探せ」
「モモチは私の忍なんでしょ。なんでもしてくれるって言ったじゃん」

 その「なんでも」に色恋沙汰を含ませた覚えはない。

「けちけち!モモチの馬鹿。石頭。……も、もしかしてサイゾウを取られるのが嫌……とか?」
「違う。……主殿、いい加減落ち着いてはどうだ」
「落ち着いた恋愛なんてあるわけないでしょ。愛じゃないの、恋愛なの。判る?」

 いつも冷静で、どんなに非難を浴びようと決して折れない主殿を尊敬していた。
 この様子を見ていると、俺の目も随分腐っていたようだ。

「……見込み違いだったか」
「え!?そういう言い方やめてよ。流石に傷つく……」

 普段から心に負担を強いられている主殿にこんなことは言いたくないが、流石に馬鹿過ぎている。
 命を捨てて良いと思えるほどであったが、今は何も言えない。
 まさか、主殿が恋愛で己を制御出来ない部類の者だったとは……。

「主殿、では俺が自分で代理を探そう。それなら問題ないな」
「あるわよ。こんなことモモチにしか言ってないんだからね?他の人に知られるのは嫌。
 特にハンゾウは絶対に嫌。無理。女の子に言うのは恥ずかしいから無理なの。無理!」

 主殿の縋る目は苦手だ。主殿に頼られる事は嫌いではない故に力になりたいと思ってしまう。
 これが討伐や潜入、暗殺ならば喜んで行ったものを……。

「判った。出来る範囲の事は手を貸そう。しかし人の心、それも忍の心なんぞ、俺の手では対処しようがない。結局は主殿の努力次第であることを理解してくれ」
「まぁ、それはそうね。……出来るだけモモチに当たらないようにするわ。ありがとう!」

 あどけない無邪気な笑顔は好ましい。
 サイゾウの件が無ければ良かったのだが、仕方ない。
 俺には下らないとしか到底思えないが、主殿の為に多少は協力しよう。


 ◇


「サイゾウ。明日から主殿の周辺警護にあたれ。俺は別の任に就く」
「りょーかい。お頭から離れるなんて久しぶりだな。師匠寂しがるなよな」
「不安しかないが、お前も経験は十分ある。死んでも主殿は守りきれ」
「ンなの、わかってるって。忍の命で頭が守れれば上々、だろ」
「そうだ。我々の命に価値などない。真に必要なのは主殿だけだ」
「はいはい。知ってるって。この世を変えるのは頭であって、忍じゃねぇからな」

 幼少期から教えた忍のあり様は、サイゾウに正しく継承されている。
 ……あの『爆裂』だけは、思い通りにはいかなかったが、それは今はいい。
 おとりとして、サイゾウごと使い捨てれば良いだけだ。

「……と、いう事で俺は一度主殿から離れる。今後はサイゾウを頼れ」

 警備担当を交代する事を主殿に報告しに行くと、嬉しそうに笑った。

「さっすがモモチ!仕事が早い!よっ!八百万一!」
「……あれも成長しているとはいえ、俺から言わせればまだまだだ。少しでも不安があれば必ず言え。それは主殿の心とは切り離して考えて欲しい」
「判ってるって。流石に使命を果たさずに死ぬわけにはいかないからね。サイゾウの事は好きだけど、警護に関してはモモチが一番安心できるよ。枕を高くしていられるのもあなたのお陰。それは感謝してるんだから。でも、せっかくだから今回はサイゾウにお願いしましょ。やってみたらモモチくらい上手かもよ?」
「そうだと良いがな」
「あなたの弟子なんだから、きっと大丈夫」

 主殿の労いで溜飲が下がった。
 影の働きで、光輝けるのなら、それが一番の喜びだ。
 これでサイゾウの事を諦めてくれれば何よりだが。


 ──数日後。


「も、もも。もももも」

 言葉か鳴き声か判らん事を発しているのが、独神である我が主だ。
 秘密の共有という事で、俺にだけ通じるように暗号を作っておいて正解だった。
 欲を言えば、その秘密がこんな下らん事でなければ……いや、主殿の望みを叶えるのも任務のうち。
 監視、盗聴がない事を確認してから、主殿の相談を受ける。

「……やっぱりサイゾウじゃ駄目かも」

 実力がついてきたとはいえ、やはりこの程度か。
 見損なったぞ、サイゾウ。

「け、警護って、その場に居なくても私の事見てるじゃん?
 私の変なところも全部見られるわけじゃん?
 ……恥ずかしくて息をするのすら辛い」

 訂正しよう。この程度というのは主殿の方だった。
 見損ないはしないが、多少幻滅する。

「今まで俺に見られ続けていて、何故出来ない」
「だって、好きな人に間抜けな姿見せられないでしょ。着替えもろくにできないし、くしゃみも恥ずかしい。服の乱れが気になってくるし、汗臭いと嫌だと思うし、とにかく息が詰まる」

 主殿は、こういう方だったろうか。
 もうすべてが夢であったらと考えてしまう。
 忍が現実逃避とは情けないが、主殿の変わりようはそれだけ衝撃的なのである。
 この部分だけ見れば、間抜けでどうしようもないと思うかもしれないが、本来はまともなお方だ。


「サイゾウの何が好ましい?」
「犬みたいなところ?」

 犬……。犬程賢いとは思えんが。

「ほら、こんな事してると、何したって批判ばっかり恨まれてばっかりでしょ。
 八百万界の為に選び取った選択が、本当に合っているのか、間違っているのかも判らない。
 そんな時に、私がいるだけで力が出ると言われると、自分が肯定されたようで嬉しいの。
 私で良いんだ、って。サイゾウがいてくれるだけで私が私の存在を肯定できる。
 一緒にいて安心する。だから好きなの」
「……そうか」

 主殿の苦しみが和らぐ相手が、サイゾウというわけか。
 戦が終わるまで主殿の精神をもたせるには、サイゾウは必要かもしれんな。
 だが、色事は余計だ。なんとか、ただの主従に収めなければ。
 このままでは、主殿が破滅する。それだけは避けなければ。






 そりゃを頭のことが好きだけど夜ですそういうのとはちょっと違うというか。忍のオレが好きになるわけねーじゃん。


 もくてきのためなら他人をだしぬきひとをころすじょとを」いとうな。

 サイゾウ



 サイゾウには忍としてのイロハを教えた。
 使える主に恋愛感情を抱くなど言語道断。
「じゃあ私がこんなに困るはめになったのはももちのせい、、、?
「遠因はそうかもしれんな





 つーわけで、これからは俺が控えてっからな


 色々とやるが効果はなくて脈がないと思っていたら実はサイゾーは独身のことが好きで忍だから好きではないフリをしている独身の気持ちには応えないようにしている仕える主人と恋仲になってはいけないと言うのを教えてたのはももち

「お頭の事は好きだ。ほんと良い頭だぜ。

「心配すんなって。ちゃんとわきまえてるよ。俺は忍だ。お頭の為なら死ねる。余計な事はのぞまねぇ。」
「お頭は真っ当な生き方をしてもらいたいからな」


(これ最終的にはうまくいくやつ)


ハンゾウ

ハンゾとコタロの話で出てきた手錠が、今度はうっかり独神とハンゾにかかってしまう。

「え?え?え?むりむりとれない!」
「ちっ。何故これがこんなところに」

「こんなもの本来なら関節を外せば抜けられるが、あの国造りの神は変に優秀なせいでそれだけでは抜けん」
「え!?じゃあ、オオクニヌシが帰ってくるまでこのままなの!?」
「どうしてもというなら、俺の手首を切り離すしかあるまい。」
「だめ!そんなことしないで。
「だが、貴様は俺と一刻も早く離れたいのだろう」
「だからってハンゾウをそんな目に合わせるわけないでしょ!

「両利きだ。忍が利き手を負傷したからといって使い物にならなかったら意味がないだろ
「そっか……。じゃあ、ご飯も一人で食べられるね。
「なんだ。左手が使えないと言えば、主が食べさせてくれたのか?
「っはああ?しないです!おにぎりにすれば問題ないでしょ。


「……。ん?ハンゾウ?どこ?」
「ここだが」
「ひゃあ!!!??びっくりした!!なんでいるの?」
「何故いるとは……。繋がれたままでどう動けと?」
「だ、だって、あの……正直、私一人しかいない感じだった。だって、全然感じなかった」
「はぁ……。忍なんぞ気配を消せて当たり前だろう」
「消すってだって、この近距離で?全然感じないんだよ?」
「……はぁ。貴様は俺を使役出来る事を感謝しろ」
「そりゃお世話にはなってるけど……。実のところ、どう最高峰なのかはわかってなかった」


「主、そんなに俺が嫌か?」

首を振る。そうじゃない。

「忍相手に躊躇うな。雇い主の貴様は思ったままを吐けば良い。忍とは元来そういう身分だ」
「的外れ。……全然違う」
「ならはっきりと言え」
「……
「……
「こんなに近くにいるの……嬉しいの。だから、心臓が持たない」
「……っ」
「考えてるとわけわかんなくなるのに、これのせいで逃げられないし、
 ちょっと手を動かしたら、当たるの、すごく緊張する。
 左手の小指、緊張しすぎて関節が痛むもん。

「主。……触ってもいいだろうか
「駄目。顔、見ないで
「なら後ろからにしてやってもいい。だが、繋がれた状態では貴様の腕があらぬ方向に曲がる事になるが、構わないな?
「構う!そういう脅しじゃなくて、もっと……ないの?
「好きな女の顔が見たいから見せろ
「……。
「顔を背けてどうする
「だ、誰のせいで……。



いちゃこらしたあと、実は少し前からオオクニヌシが帰ってきていた、でもいい。
「な、ん、で……」
「ハンゾウは気づいていたようだったからな。待てば終わると思ってたんだが……」
「なんで?
「秘匿の関係にしておくと、変わらず主に手を出されるからな。数人に知られているだけで丁度良い抑止力になる。
「……
泣きかけるぐらい、ぱにっくしてる。

(ごくごく普通の夢小説)


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